リスク・副作用
「根管治療」
- メタルコアを除去する際に根が割れることがあります
- 術後に痛みが生じることがあります
- 再感染により根が膿む場合があります
- 根管治療により歯が薄くなるため、歯が割れやすくなります
「歯周外科」
- 神経がある歯では術後に染みることがあります
- 歯を支えている骨を削るため、歯の揺れが増すことがあります
- 歯ぐきの形が術前の想定通りにならないことがあります
「咬合挙上」
- 顎に痛みが生じることがあります
- 高さに慣れない場合は計画した通りの結果が得られないことがあります
「ジルコニアステイン」
- 硬い素材のため、定期的に噛み合わせの調整が必要になります
- 研磨剤含有の歯磨剤を使用すると色付けした部分が剥げることがあります
「ジルコニアクラウン」
- 製作する材料が限定されるため単調な色調です
治療方針
逆流性食道炎の影響により歯が溶け、歯ぎしりの影響により歯がすり減っていました。上の前歯は根だけになっていましたが、その状態で下の歯と噛み合っていました。このままではクラウンを装着するスペースがないことから咬合挙上(噛み合わせを高くする治療)と歯周外科(歯冠長延長術)を施すこととなりました。噛み合わせは部分的に変えることはできないため、全て歯にクラウンを装着する方針となりました。
特記事項
咬合挙上では顎関節に問題を生じさせないため、経過観察期間を含め3ヵ月を要しました。また、歯周外科した前歯の歯肉が安定するまで6ヵ月、噛み合わせをずらさないように部位ごとに分けて最終的なクラウンを製作したため、全体として1年を超える治療期間となりました。
担当者所見
患者様は「もう自分には前歯がある生活はできないのではないか」という思いがあったそうです。噛み合わせをガラリと変え、さらに前歯では手術を伴うため、とても根気と勇気がいる治療方針でしたが、患者様がそれらを受け入れてくださったおかげで、治療を完了させることができました。最終的に装着したクラウンはジルコニアのため、顎への負担が大きくなる可能性があるため、就寝時にはナイトガードを装着していただいています。