セラミック歯の天敵は?

はじめに

このページを読むと次のような事がわかります。

キレイなセラミックの歯を手に入れたからこそ、それを末長く使いたいと誰しも思うのですが、それぞれのセラミック材質には特徴があり、それに合わせた対応が必要になります。
このページでは、できるだけ分かりやすく、セラミックの特徴とセラミックの寿命を伸ばす方法をお伝えします。お読み頂くことで理解する事ができるでしょう。

日本補綴歯科学会専門医紹介

こんにちは、日本補綴歯科学会専門医の田中健久です。

補綴とは、被せ物・差し歯など虫歯や欠けた歯を補うことです。
日本補綴歯科学会の専門医とは、全国歯科医師の1%しかおらず、被せ物や差し歯の専門的な知識を持って診療に当たるスペシャリストになります。

セラミックなどの被せ物の専門家として質問にお答えします。

補綴歯科ってなに?

歯のセラミックの天敵は?

白くキレイなセラミックの歯を手に入れた患者さまは、心躍る気持ちだと思います。笑うとキラリと光るキレイな歯は、誰しもが羨むでしょう。
そのセラミックの歯を長持ちさせるには、セラミックの天敵を理解する必要があります。

セラミックと言っても、ジルコニアセラミック、e-max、ハイブリッドセラミックなどと種類はたくさんあります。それぞれの特徴を理解してから、天敵を知る必要があります。
自分が選択するセラミックを良く把握してそれに対しての対応を行うことが1番の対策になります。

ジルコニアセラミックの特徴は?

白いダイヤモンドと言われる程硬い材質。とにかく硬度が高いのがジルコニアセラミックの特徴です。
どれくらい硬いかと言うとモース硬度10でダイヤモンドに匹敵します。生体の中で最も硬い天然歯エナメル質で硬度6〜7ですので、その硬さが良くわかるかと思います。ちなみにガラスの硬度は、5になります。

ジルコニアセラミックの特徴は、硬いです。以前よりジルコニアセラミックに関しては、白い材料なので、歯科の被せ物で応用できないか?と注目されていましたが、硬すぎるために加工が難しいと言うことで、応用されませんでした。
しかし、東京医科歯科大学クラウンブリッジ科教授である三浦教授が、結晶構造を変えることで歯科でもジルコニアが応用されることになりました。非常に大きな業績を三浦教授は、果たされました。本当に感謝ですね。
三浦教授がジルコニアと言う素材を諦めずに研究された恩恵が現在歯科において広く世界で使用される材料となった訳です。

e-maxの特徴は?

e-maxセラミックは、ニケイ酸リチュウムを主成分としたガラスセラミックスになります。
ガラスですので、透明感があり天然の歯に近い素材となります。しかし、ガラスですので強度に不安があるのも事実です。 e-maxセラミックの利点である見た目No.1ですが、使う側の歯科医師からすると割れることが怖いなという意識が常に働いてしまうのも確かです。

また最近になってe-maxcadは、2点曲げ強度が530mpaとかなりアップしているため、以前の製品よりも確かな材料となっています。
やはり前歯部では、断然透明度がありキレイな仕上がりとなるのもこの製品の魅力になります。

ハイブリッドセラミックの特徴は?

ハイブリッドセラミックは、最近保険適応になったCADCAM冠のことを指します。一部では、保険導入されたにも関わらず未だに保険外の自費診療を行なっている歯科医院もありますので注意してください。

ハイブリッドセラミックは、陶材(セラミック)の粉末とプラスティック(合成樹脂)を混ぜ合わせた材料となります。そのためセラミックとプラスティックのハイブリッドと言えばわかりやすいかもしれません。
主な素材がプラスティックなので、強度的にはそこまで強いわけではありません。

CADCAM冠は、セラミックとプラスティックを均等に混ぜ合わせたブロックを作製して被せ物(クラウン)や詰め物(インレー)を削り出します。
そのため以前のハイブリッドセラミックに比べると強度は上がっています。

セラミック歯の天敵の正体は?

歯のセラミック天敵の正体は?歯ぎしり・食いしばりです。
えーーーっと思われる患者さまも多いかもしれません。日本人の7割〜8割の方が、なんらかの歯ぎしり・食いしばりをされていると言われており、その力は、歯1本につき100〜200kgの力が加わります。お相撲さんが歯の上で毎晩暴れていると考えて頂くと相当な力加わっている事がわかるかと思います。
そう!この歯ぎしり・食いしばりは、百害あって一利なしです。
我々歯科医師にとっても患者さまにとっても天敵で、セラミックはことごとく割れますし、ジルコニアでも欠けたり壊れたりするほどです。つまり、相当な強敵だと思って頂ければと思います。

歯ぎしり・食いしばりは、セラミックだけではなく、患者さまにとって非常に厄介な存在なのです。
歯ぎしり・食いしばりが、虫歯を発生させて歯周病を助長します。大人になってからの虫歯の多くが歯ぎしり・食いしばりが原因で起こっています。
患者さまは、虫歯や歯周病に注目しがちですが、影の主役は間違いなく歯ぎしり・食いしばりになります。歯ぎしり・食いしばりをすれば歯と歯の間が、擦れて、寝ている間は唾液が循環しないため、唾液の再石灰化が起こりにくく、歯のエナメル質にマイクロクラックが入ることで、虫歯が発生します。
虫歯は、歯を磨かないからだと思われている方は、要注意です!歯ぎしり・食いしばりにより引き起こされており、実は、歯周病も歯ぎしり・食いしばりにより助長されて、歯の動揺がどんどん進む訳です。

歯ぎしり・食いしばりは、本当に困った悪習癖ですので、ぜひ、皆さん、ナイトガードを装着して予防に努めましょう。
歯ぎしり・食いしばりを防ぐ方法や止める方法はないのですか?と良く聞かれますが、現在の所、明確に止めさせる方法は、ありません。

ジルコニアセラミックの寿命を伸ばすには?

ジルコニアの特徴は、とにかく硬いです!それが故に写真のように自分の歯を削ってしまうこともあるくらいです。
しかし、通常の食べ物や日常生活の中で歯と歯が接触する時間は、約17分間ですので、このような状態までになるのは、夜間の歯ぎしり・食いしばりによって引き起こされます。そのためナイトガードが重要になります。

ジルコニアは、非常に硬いが故に天然の歯を削ってしまう恐れもあるのですが、しっかりとナイトガードを装着すればなんら問題はありません。

ジルコニアは、硬いので割れない壊れないと思われている患者さまも多いのではないでしょうか?
私もですが実は、そのように思っていましたが、患者さまの歯ぎしり・食いしばりによっては、欠けたり壊れたり外れたりする症例を経験しています。
歯ぎしり・食いしばりでギシギシと毎日100kgの力を加えていればジルコニアも割れてきますね。やはり夜間は、しっかりとナイトガードを装着しましょう。

e-maxセラミックの寿命を伸ばすには?

e-maxセラミックの特徴は、ガラス系で非常に見た目がキレイですが、強度が弱いという欠点があります。
そう! e-maxセラミックは、割れる・欠けるが非常に多い材料になります。前歯などで使用する被せ物なら対応できるのですが、奥歯に使用すると歯ぎしり・食いしばりをされる患者さまだと簡単に割れてしまいます。やはり、強度に大きな問題があります。

e-maxセラミックもナイトガードで歯ぎしり・食いしばりを予防するしかありません。せっかくキレイに仕上げたe-maxセラミックを、長持ちさせる救世主は、ナイトガードしかありません。

ハイブリッドセラミックの寿命を伸ばすには?

ハイブリッドは、陶材の粉末とプラスティック(合成樹脂)を混ぜ合わせた材料です。プラスティックが入っているので粘りがあります。粘りがあるためある一定のところまでは、欠けたり割れたりしませんが、ある一定の強度を超えると壊れてしまいます。

やはり夜間の歯ぎしり・食いしばりをどのように防ぐのか?が1番重要となります。

また、プラスティックは吸水膨張を繰り返し、最終的には強度が弱くなるため、2〜3年くらい経過したらやりかえが必要だと思ってください。

ハイブリッドセラミックの寿命を伸ばすには、やはりナイトガードが必須になります。

セラミック歯科治療で、最も怖いのは?

最も怖いのは、歯ぎしり・食いしばりで起こる最低最悪な出来事になります。

それは「歯根ハセツ」です。この歯根ハセツが起こるともう抜歯するしかないケースがほとんどです。抜歯をするとブリッジかインプラントの選択肢となりますので、時間も費用も多くかかります。

また、歯根ハセツを起こして時間が経つと膿が広がり、骨の欠損が大きくなりインプラントするにも時間と費用がかかります。ブリッジするにも清掃性の悪い形になるので、しばらく骨が治るのを待つか骨の造成が必要になりします。

とにかく歯ぎしり・食いしばりで最も怖いのは、歯根ハセツになります。こうなってしまうと手の打ちようがありません。
ヨーロッパでは、歯を失う原因第1位は、「歯根ハセツ」です。食べ物を食べる力で歯根ハセツが起こることは、まずありません。
良く食べ物を食べていてパキッと音がした。と言われる患者さまがいらっしゃいますが、多くの場合は歯ぎしり・食いしばりによりマイクロクラックと言われるヒビが入り、食べ物で止めを刺すという形になります。
夜間の歯ぎしり・食いしばりがセラミックにとって1番の天敵になります。

身体の筋肉で1番強い筋肉は、どちらだと思いますか?大腿二頭筋?上腕二頭筋?などと想像する患者さまが多いのですが、答えは咬筋で顎の咬む筋肉になります。
それくらい咬む力は、強いということを理解してください。

セラミック歯の寿命を短くする原因3つ

1.歯ぎしり・食いしばり

2.虫歯

3.歯周病

セラミックの寿命を短くする原因は、ほぼ上記の3つになります。いずれも1位の歯ぎしり・食いしばりが虫歯と歯周病を助長させますので、歯ぎしり・食いしばりがダントツで1位な訳です。
歯ぎしり・食いしばりを予防することで、虫歯も歯周病も防ぐ事ができると思ってください。

歯ぎしり・食いしばりを防ぐ方法は、ナイトガードしかありません。歯ぎしり・食いしばりの原因は、いろいろ考えられますが、多くは「ストレス」と言われています。
東洋医学ではこの原因を無くさなければ、また同じような事が起こると考えて根本治療が施されますが、残念ながら「ストレス」を無くす方法は現代社会においてありません。対症療法とはなりますが、「ナイトガード」の装着が1番です。

夜間、歯に代わってナイトガードが削れてくれる方が良いとお考えください。

東京でセラミック治療(矯正)を考えている方、歯科矯正・マウスピース矯正に興味があるけど費用や期間でお悩みの方は、一度「まる歯」の歯科医院にご相談ください。
医療法人社団まる歯には、被せ物(インプラント、セラミック等)や入れ歯の治療に関する指導医・専門医が在籍しています。
※補綴(ほてつ)とは,歯が欠けたり、無くなった場合に被せ物や入れ歯等の人工物で補うこといいます。
東京都内7駅(渋谷駅、麻布十番駅、東松原駅、西永福駅、久我山駅、秋津駅)に7医院展開しています。
患者さまを第一に考え、痛みに配慮した治療心掛けています。
また、虫歯や歯周病などの一般歯科から審美歯科(セラミック、ホワイトニング、インプラント)など幅広く歯科治療を受診いただけます。
診療案内:虫歯、歯周病、歯のクリーニング(歯石取り等)、ホワイトニング(3,300円/回)、歯科矯正、マウスピース矯正、小児歯科、小児矯正、インプラント、セラミック矯正、親知らず、口腔外科、入れ歯(義歯)、審美歯科、口臭対策、予防歯科